未来の夫はメキシコに、交際二週間で受けたプロポーズ:国際結婚リレーコラム

30歳でメキシコの日本語教師に

メキシコ帰りの大阪在住ライター、ヒトミ☆クバーナです。20代で劇団活動をしていた時、チェ・ゲバラが題材の映画を見てキューバに惹かれました。あの世界を実際に見てみようと、27歳でキューバに半年滞在。他人の目を気にしない文化やスペイン語生活にハマり、ラテンアメリカへ移住することにしました。

しかし、社会主義国キューバでの就職は難しかったため、メキシコの日本語学校で働きはじめます。そして2年後にメキシコ人の夫と出会い、彼の「日本に住みたい」という希望を叶えるため帰国しました。今は大阪を拠点にフリーランスのライターをやっています。

メキシコシティから車で1時間ほどのテオティワカン遺跡にて。

交際2週間でプロポーズ

夫との出会いは、働いていた日本語学校。メキシコと日本政府の間には1971年から続く交換留学制度があります。彼はその制度を利用し、日本に社会人留学するため2か月の日本語コースに通ってきていました。

当時、他の学生も交えてよく遊びに出かけたのですが、その時に彼が言った「生まれた国での生活は、見えないレールの上を歩いているようで退屈」という言葉に共感しました。それ以来さまざまな話をするようになり、出会いから1か月で交際がスタートします。

そして2週間後の私の誕生日に、遊園地のメリーゴーランドの上でプロポーズ。「こんなに価値観が合う人は日本にもいないだろう」と感じ、迷うことなく結婚を決めました。

その時のメリーゴーランド。同じデザインのものが実は大阪のひらかたパークにもある。

プロポーズから1週間後に彼は日本へ留学し、8か月の遠距離恋愛が始まります。メキシコと日本の距離は約1万km、時差は14時間。毎日Skypeで話していましたが、会えない中でのコミュニケーションはもどかしく「どうして私はメキシコにいるんだろう」と何度も思いました。その時から、住む場所より誰と一緒に暮らすかの方が、自分にとって大事なのではと思い始めます。

夫の帰国後、私は日本語学校を退職し彼の実家でしばらくお世話になりました。メキシコでの結婚手続きは彼が全部やってくれて、とても心強かったです。同時に、「日本に戻ったら今度は私が彼を支えなくちゃ」とプレッシャーを感じすぎ、不安にもなっていきました。

一番心配だったのは夫のビザの手続きです。お互いに日本では無職からのスタートなので、私の父に身元保証人になってもらったり、偽装結婚ではないことを示すため2人のなれそめを書いて入国管理局に提出したり。他に、交際時の写真も証拠として出さなければいけません。どれだけ準備しても、ビザが認められず夫が入国できなかったらどうしようと、かなりナーバスになりました。

日本でのメキシコのイメージと異なり、夫の地元はとても静かな町。

帰国後に夫婦で感じたストレス

ビザの結果を待ちつつ夫より先に帰国した私は、新居の契約や家具の購入、新しい仕事の研修などバタバタと過ごしました。仕事はさいわいなことに、メキシコに行く直前まで働いていた会社に再びお世話になることができました。

その1か月後、無事にビザが出て夫が入国し、やっと日本での夫婦生活がスタート。ホッとしたのも束の間、今度は彼の仕事がなかなか決まりません。メキシコで専門職の経験があり、日本語能力試験も最上位の1級を持っていたにも関わらず「日本での就労経験がない」ことが壁となり面接に落ち続けたのです。

私は「自分がしっかりしなきゃ」と常にピリピリし、夫は夫で私に養われている状態が精神的につらく、狭いワンルームの部屋に何度も重い空気が漂いました。

メキシコでは感じなかった文化の違いも経験します。日本で家族や友人に夫を褒められると、私は照れと謙遜から彼を下げるようなことを無意識に言っていました。しかしある日、悲しい顔で「なんで僕のことを悪く言うの?」と聞かれたのです。確かに謙遜は日本の文化だけれど、夫を否定しなくても会話は成立するのに悪いことをしたと反省しました。

半年の就職活動を経て、彼の仕事が決まり、私は好きなことを探そうとフリーランスのライターになりました。在宅ワークで家事がしやすく、夫の役所関連の手続きも平日に行けるのでストレスが減っています。1LDKの広めの部屋に引っ越しもしました。

結婚生活はあっという間に5年目です。1人で抱え込まず、2人で一緒に考えることで今まで何とかなってきました。「あの時、何がそんなに不安だったんだろう」と思うほど、今の生活は落ち着いています。


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2020-08-17|タグ: ,
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