海外経験者はなぜ日本の転職市場で疎まれるのか

海外経験者たちの話を聞いて考えた

改めまして、SalmonS(サーモンズ)を運営するネルソン水嶋です。ベトナムに8年暮らしていました。

海外経験者、とくに帰国就職を考えている方、ネガティブなタイトルに感じるかもしれません。しかし海外就職(生活)に憧れる人もいる一方で、こんな現実もあることを知っておいてほしいと思ってこの記事を書くことにします。ただ、誤解のないよう先に伝えておくと、このタイトルは海外経験そのものを否定するものではマジの絶対に全くもって、ないです。むしろ100%エールです(ビールの宣伝文句っぽい)。「外国人」というマイノリティ視点は、確実に人生のプラスになったと感じます。同じ立場の方なら共感してくれる人も多いはず。

なおこのサイト、タイトルと同じ疑問を抱いたことからはじまっています。詳細は下記記事をご覧ください。

記事の内容を要約すれば、「海外経験者が帰国後就活に難航するのは、同じ立場として納得できないし、日本の将来にとっても損だとしか思えないから、帰国後に活躍する人たちから話を聞いて解決の糸口を探ってみる」。

それから二か月。メディアとしてはまだ日が浅いにもほどがありますが、20人ほどの海外経験者の方から、取材でない方もふくめると50人くらいですが、話を聞く中でおおよそ「どのように難航するのか」「それはなぜなのか」「どうしたらいいのか」ということがようやく言葉にできるようになってきました。

本記事の内容は、海外経験者かそうでないかはもちろん、前者というカテゴリーが同じ、在住国や業界や、働き方によって賛否が別れるかもしれません。一方で、共感してくれる方も少なくないということも分かったので、思い切って!ぜんぶ書いてみたいと思います。よって私見です。異論は大歓迎。ぜひ私までご連絡ください。

「転職市場で疎まれる」とはどういうことか

海外経験者は日本におけるマイノリティ

そもそも「転職市場で疎まれる」ということに対して、「そうなの?」と思う人もいるかもしれません。これは立場・業界・職種・人脈・転職方法によってさまざまだと思いますが、話を聞いた海外経験者の方はほとんど「帰国あるある」として分かってもらえた印象でした。帰国時に転職する訳じゃない駐在員の方は除きます。

一方でその話を海外に住んだことがない人にすると、中には「その人のアプローチに問題があるだけじゃないの」という厳しい声もありました。可能性がゼロとは言わないけど、すべての人がそのように言われると心外です。そんなことないですよと言えば言うほど自分が妄言を吐いているようで辛いものがあった。相手によってここまで反応が違うとは。そこではじめてこれがマイノリティという場所から見た景色かもな~と、しみじみ…。

「そうは言っても日本人でしょ?」という気持ちもあるのだと思います。だけど海外に住む日本人が日本で就職活動するって、しんどいですよ。壁が多いですよ。思っている以上に。まずはそれを実例を挙げて説明します。

海外では面接もできないし、大半のリクルーターは動いてくれない。

ベタな例が、「海外にいるので面接が受けられない」というものです。

死活問題です。これ。オンライン面接、これができないことを理由に応募時点で断られるケースが多かった。日本国内の転職なら週末や半休を利用してできますが、海を隔てていますから、そこで面接に来いと言うのは「退職してから来い」と言ってるのと同じなんですね。もっと正確には「帰国してから来い」です。ただ、まったく分からなくもないんです。会社として大金をはたいて引き入れるのだから会ってみたい、とくに営業なんかは。

あるベトナム在住者の方の話では、複数社のリクルーターに打診すると一社を除き「帰国してから」と断られたとのこと。オンライン面接で内定かその直前まで持っていけた事例が少ないんだろうなと想像します。就活のためには帰国しないといけないが、面接のたびに帰る訳にもいかない、辞める訳にはもっといかない。だって失業保険も出ないですしね(日本法人から給与が出ていれば別ですが…その場合はたいがい駐在員扱いだと思う)。

リクルーターが「帰国後ね」とそこで止めたら、「オンライン面接OK」という企業がもし存在していても、出会えるはずもありません。個人的には「海外就職を斡旋しておいて帰国就職は拒否ってどうよ?」と思うのですが、ある意味で現金というか。コストが見合わないというのは分かっていますが、それって片道切符すぎない?って。ただ、前述のように、すべてのリクルーターがそうではないということは特筆しておきたいと思います。

オンライン面接という手段に限っていえば、最近のコロナ禍もあり一気に市民権を得てきています。人事の友人によると、200人近い新卒採用選考をすべてオンライン面接に切り替えたと。なので、人の多い都心の企業を中心に抵抗感も幾分解消されているはず。ですが、オンライン面接どうこうというよりも、根っこの理由は、オンライン面接をしたがる(しなければいけない)ような「異端的人材」を採りたくないのでは?と思っています。

「扱いづらい」と見られる海外経験者

日系企業(とくに老舗)の傾向はチームワーク命!だと思っています。

2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果(一般社団法人 日本経済団体連合会)

何しろ、日本企業の新卒に求める能力1位が16年連続で「コミュニケーション能力」

それが82.4%で、「留学経験」は0.5%と選択項目中最下位でした。海外に出ない若者が増えてるーっていうけど、彼らを評価する社会がそもそも求めていないんだから、そりゃそうですよね。新卒と中途は求められるものが違いますが、後者でもコミュニケーション能力はないよりあった方が確実に良いと考えるのが自然かなと。

でも、これが悪いというつもりはありません。言い古された文句で「組織の歯車なんかになりたくない」なんてものがありますが、歯車として噛み合えるということはそれはそれですごいことです。空気を読む能力に長けた日本人はチームワークがお家芸だと思いますし、サッカーなどのスポーツの世界でも言われてますよね、それ。むしろ誇っていいと思うんです、一歩間違えれば同調圧力ってやつですが。

そこで話は戻って海外経験者。そんなコミュニケーション能力重視の社会において、海外に、それがもし社内の誰も知らない国に住んでいた人間ともなればかなり謎めいたキャリアのはず。だって何してたか分からない、分かる予備知識がないんだもの。怖いですよね。そりゃ、採らないわなって思います。実際の体験談で、応募しようとしたところ「海外経験を理由に門前払いされた」という話も。清々しいくらいに好例(悪い意味)です。

希望する就職先で、海外経験が適正に評価されないこともある。私も就職活動で「多様な経験してる人って組織の調和を乱すからジャマ」と門前払いされた。(元記事

ひとつ付け加えておくと、仕事によっては…それこそエンジニアとかイラストレーターとか、業務時間の大部分が個人業務にあてられるようなクリエイター系ならあまり関係ないのかなと思います。チームワーク無用とは言わないけども。今更ですが、この記事の「疎まれる」とは、そうした方が入ってくるとは想像していません。

こうして書くと日本の企業を悪者にしたがってると感じるかもしれませんが、そんなことないというか、しょうがないことだと思っています。個人的にはコミュニケーション能力を第一に掲げる会社では働きたくないですが、すべてはよその勝手。それに実際、「海外経験者は扱いづらい」はまるっきり偏見でもないようです

人材紹介会社に勤めていた友人が言うには、「海外ではマネージャーだったのに日本では平社員扱いになって、それが我慢できないプライドの高い人もいる」という話もあれば、海外進出時に現地の経営経験者を雇ったら「自分のやり方と違うとたびたび反発を受けて、結局辞めることになった」という話もありました。

もちろん誰もがそんな訳がありません。ただ実際、少人数の日系企業だと現地では裁量権が任されることも多いし、世界的に見ても日本人はワーカホリックです。海外経験を経た人が、アクティブになり、プライベートを重視するようになったともよく聞きます。さらには、マイノリティである外国人として暮らす上で、仕事でも私生活でも主張しないと買い物ひとつも思い通りにならない場面も多いです。そりゃまぁ、自然と我だって強くもなる。

以上のことから、日本社会と海外経験者は相性が悪いとしか思えないんですよね。傾向として。あとでまた書きますが、リクルーターに任せるにしろ何にしろ、選ばれるのを待ってるばかりじゃ仕事は見つからないんです

これは社会の話ですが、採用担当者レベルでも疎まれる理由はあります。

海外経験が「ブランク」に見られる理由

相手によっては、海外経験がまるっとブランクとして見られる場合もあります。例を挙げると、海外で営業とマーケティング経験のある人が帰国後に「未経験扱い」されたという体験談も。

それである動画プラットフォームの運営会社のマーケティング事業の面接を受けたんですが、『笠原さんのような未経験の方は…』と言われてしまい、『未経験!?』『私新卒扱い!?』と頭が真っ白になったんですね。(元記事

なぜなのか、それは「分からないから評価ができない」に尽きると思います。

旅券統計(平成31年1月~令和元年12月)(外務省領事局旅券課)

日本人のパスポート所持率はほぼ4人に1人、およそ3000万人に対して在外邦人はおよそ140万人なので、ほとんどの用途は出張か観光です。出張ならまだ良いけれど、採用担当者が出張で行くって考えづらいなと思います。つまり、多くの場合、採用担当者にとって求職者の海外経験はめちゃくちゃブラックボックスな訳です

まぁ、採用担当者以前に多くの日本人にとって、なんですけども。私もベトナム以外は詳しくありません。繰り返しますが、「選ばれる立場」においては、たまたま相手が留学してた!とかミラクルでもない限り(かつ、その人に裁量権でもない限り)、マニアックな海外経験は基本的にマイナスに働くことばかりだと思います

逆境でも逞しさを失わないでいてほしい

まとめると!海外経験者の帰国就職が難航する理由は…

  • オンライン面接という壁に阻まれ
  • 多くのリクルーターが消極的になりがちで
  • 日本の企業は扱いやすい組織人を求めており
  • 海外経験というキャリアは日本社会でブランク扱いされがち

ということです。

じゃ、海外経験者は日本において弱者なの?というと、マイノリティであれど、んなこたない。というより、個人的には、海外にいる日本人も日本にいる外国人も、経緯はさまざまですが未知の世界に飛び込み暮らすことに対してすごいなと敬意を持ってます。むしろ、猛者ですよ。その点であんまり不遇だ不遇だって言いたくないんですけど、自信をなくしたり不安になったりする友人たちを見ていて、変えなくちゃとは思います。

一方でいまは日本と海外の垣根も低くなっていて(コロナで一時的に人の往来が減ってはいるものの)、企業の海外進出、訪日インバウンド対応、外国人人材雇用関連、こうした場面で海外経験者の需要は潜在的にはめちゃくちゃ高いはずです。はずというより、「そんな人いるならうちが雇いたい」という経営者の方も実際いましたし。長い目で見て外国人が増えていく中で、海外経験ってめちゃくちゃ活きますよ。まぁ、20年くらいしたら逆に海外にルーツのある日本人に取って代わられるかもしれないけど。そんな未来のことは知らんけど。

なので、いずれは手のひら返しがはじまるんでしょ!分かってるぞ俺は!くらいに考えてますが、その流れは誰かがつくらないといけないし、たとえ力になれずとも悩んでいる人を放っておく気はないので、やれるだけのことをやろうと思ってこのサイトを立ち上げ、取材を続ける中で、分かったことをこの記事にまとめています。

仲間はいつでもほしいのでもしよかったら連絡ください。

「選ばれる立場」ではなく「選ぶ立場」に

長くなりすぎたのでまた今度書きますが、海外経験者だからこそとるべき転職活動というものはあります。ありますというか、取材を通して教わった感じ。途中でちょっと書きましたが、そもそも転職市場でマイノリティ扱いされる人が、リクルーターに任せるということ自体が悪手だと思うんですよ。どう考えたって、コストパフォーマンスが低いじゃないですか。どう考えたって、打率が悪いじゃないですか。

すごくシンプルなものから、海外生活スタート時点ではじめておいた方がいいものもあるのですが。今回は羅列するくらいにとどめておいてまた近々書きます。

  • そもそも日本で就職したいのか?から考える
  • 正攻法(リクルーター頼み)をしない
  • SNSなどでダイレクトアタックだ
  • 自己PR資料は徹底的に作りこむ
  • 情報発信はしとかな損々
  • 外資系に特化する
  • 諦めたら試合終了
  • 長い目で見る

…しかし、海外から帰ってきた日本人ばかりでなく、日本で働く外国人の方も増える中で、これからの企業の採用担当者(人事)に必要なのは多様性に対する受け皿の広さなんだなとしみじみ感じますね。この知見を持つ人は、この部署の、この立場で、活躍できる。とか。社内マッチングみたいなものなんだろうなー。


海外経験者のキャリアを考える

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2020-06-17|
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